COLUMNコラム
さらに訪日観光客が増加し、外国語対応が急務に
イベント制作やコンサルティング、空間プロデュース、PRなどを手掛けるTSP太陽株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長 池澤 嘉悟、以下「TSP太陽」)は、観光業にかかわる534名に“オーバーツーリズム”に関するアンケートを実施し、その結果を発表いたします。当社は今年2月にも同様の調査をしており、その結果と比較した現在の観光業への影響とオーバーツーリズムにおける課題が判明しました。
【背景】
2023年8月には、中国から日本への団体旅行が3年半ぶりに解禁となり、観光地に賑わいが戻りつつあります。日本政府観光局(JNTO)によると、新型コロナウイルス感染拡大により最も訪日外国人観光客数が落ち込んだ2021年1年間の24万5900人対し、今年10月は約251万人まで回復、コロナ禍以前の2019年同月比0.8%増となっていることも明らかになりました。急激な観光客増加に伴い旅行業界を中心にオーバーツーリズムの問題が発生しています。このような変化のなかで、オーバーツーリズムをどのように捉えられているのか、調査を実施しました。
調査期間は2023年10月11日~13日、全国の20歳から59歳の観光地・行楽地でお客様と直接やり取りをされている、飲食・観光・宿泊・娯楽業の従事者を対象に、インターネットリサーチを実施し、534名の有効回答を集計しました。前回の調査は、2月21日~28日の期間に実施、517名の有効回答を集計しました。
「『オーバーツーリズム』という言葉を知っていますか?」という問いに対し、「聞いたことがあり、意味を知っている」という回答は前回の33.3%から58.2%まで上昇し、「聞いたことはあるが、言葉の意味までは知らなかった」は33.3%から24.5%、「聞いたことがない」は34.8%から17.2%に減少しました。オーバーツーリズムという言葉を知っている・聞いたことがあるという回答が約85%を占めていることから、前回の調査と比較すると観光業にかかわる従事者のなかでオーバーツーリズムという言葉の認知度が高まっていることがわかります。
「現在と2022年を比較して、現状起こっている問題をすべて選んでください」という問いに対し、交通機関の混雑(39.5%)、混雑によるオペレーションの低下(35.4%)、治安の悪化(29.8%)、ゴミの不法投棄(28.5%)、トイレの不足(27.3%)が上位5項目を占めました、そのほかにも外国人とのコミュニケーションが取れない(26.2%)、マナーの違いによるトラブル(23.2%)、騒音問題(21.3%)となっており、外国人にまつわる課題が多くなっています。一方でクラスター(集団感染)への不安は前回の調査では34.0%でしたが、今回は21.2%まで下落しており、以前に比べるとクラスターへの不安は減っていることがわかります。また、前回の調査では人手不足が主な問題でしたが、現在は混雑によるオペレーションの低下やトイレ不足、外国人対応に課題が移っていると実情が明らかになりました。これからさらに観光客だけではなく訪日外国人数が回復し、サービスが行き届かなくなった結果、観光地の満足度を下げてしまう原因になりかねません。
オーバーツーリズムへの対策として、職場・自治体が取り組んでいることについてアンケートをとったところ、職場においては「入場制限(有料化・事前予約など)」「入場者の分散」「平日割引や土日割増料金の導入」など、観光客急増に対応するため観光客の分散を図っていることがわかります。どこの職場でも「待機列の設定」「繁忙期の人員増」「クレジットカードなどキャッシュレス決済の導入」など人手不足とオペレーションにおける課題を解消するために、何らかの対策を取っているようです。
また職場での対策に対しての満足度は、「とても満足している」「少し満足している」という回答を合わせて前回は約4割程度でしたが、今回の調査では約6割が好意的にとらえているものの、一方「どちらともいえない」という回答が約25%を占めています。12.4%の方が「やや不満である」「とても不満である」と答えていることから、取り組みによる一定の効果を実感しているものの、満足度と比較すると不満足度があまり減少しておらず、まだ対策が不十分であるといえます。
自治体の対策では前回の調査時から引き続き「観光税や宿泊税の導入」「観光時期の分散」「インフォメーション・窓口の設置」「観光地の分散」「観光時期の分散」「平日旅行の推奨」など、混雑緩和のための対策を多くとっていることがわかります。前回の調査時は「特にない・わからない」が約4割を占めていましたが、今回は21.3%まで減少しており、オーバーツーリズムという言葉の認知度が高まったことと同様に、観光業にかかわる従事者の方たちが自治体による対策に関心を持つようになったという傾向が見て取れます。今まで以上に自治体による対策が強化されていることが今回の調査で判明し、一定の効果を発揮しています。
自治体による対策に対しての満足度は、「とても満足している」「少し満足している」という回答を合わせて約65%となり、前回の40.7%から大幅に満足度が上昇しています。職場での対策と同じく、自治体による取り組みも効果を発揮している一方で、「やや不満である」「とても不満である」という回答は前回の17.9%から今回は8.7%なっており、職場による対策と同様、満足度の上昇に比して不満足度はあまり減少しておらず、さらなる対策の余地があることが伺える結果となりました。
今後のオーバーツーリズムへの対策として、職場においては「繁忙期の人員増」に次いで「外国人対応スタッフの増員」「翻訳ツールの導入」「ホームページ・案内板の多言語表記」が求められています。自治体においては「観光地の分散」「観光時期の分散」に次いで、「外国人対応スタッフの増員」を要望する声が多く、爆発的な外国人観光客増加による混乱を避けるために、観光客を分散させ外国人もスムーズに観光を楽しめる環境を整えることが必須です。
「オーバーツーリズム」という言葉の認知度も上昇し、問題意識を持っている人が増加していることが本調査を通して明らかになりました。自治体・職場による何らかのオーバーツーリズム対策がとられており、各種の取り組みが功を奏し、現場での観光客と接する方たちも効果を感じているようです。一方で国内外問わず、観光客が増加したことにより「外国人対応」「交通機関の混雑」に対する問題が発生しており、対策が追い付いていないという現状の課題も表面化しました。とくに外国人対応スタッフの増強や多言語表記、翻訳ツールなどが求められていますが、問題解決に至っておらず、今後さらに多くの問題が発生する可能性があります。
弊社は、混雑緩和や外国人対応に適したサービスで現状の課題を解決いたします。観光やイベントを楽しむために役立つ情報や、チケット・グッズ販売・モバイルオーダーなどの機能をひとつにまとめたオールインワンの総合WEBアプリ「Compass」を利用することで、言語の壁を取り払い観光客が必要な情報にスムーズにアクセスできるようになります。ユーザーのスマートフォンのGPS情報を利用して、位置情報に合わせたWEBコンテンツの展開も可能です。ユーザーの必要とする情報にワンストップでリーチし、ユーザー側・主催者側双方の課題を解決いたします。
そのほかにも混雑する場所での無料Wi-Fiの設置、地域の周遊を促すデジタルスタンプラリーなど問題を解決するソリューションを提供いたします。交通規制、観客誘導、アクセスコントロールといった運営業務のほか、混雑を避けるため中継・配信などにも対応しています。地域の特性を活かし、誰もが楽しめるご提案を行うことで、地域の皆様にとっても過ごしやすく観光客も日本の文化やマナーを学びながら楽しめる機会を創造いたします。