COLUMNコラム
イベント現場で活躍したパイプテントを補修し、社外の団体へ
当社はイベントを運営・企画する際、企画のコンセプトに寄り添いながら可能な限り備品を繰り返し活用しています。イベント現場に欠かせない「レンタル用テント資材」もその一つ。使用後は水洗いや補修を重ね、何度も使うことで廃棄を減らしています。しかしながら、大切に使っている「レンタル用テント資材」であっても、稀に廃棄品が出てしまうことがあるのです。一部の破損によって、大きなテントを丸々捨ててしまうのはもったいない––。そのような社員たちの思いから、今回は廃棄予定だった当社備品の「パイプテント」について、社員たちが考え、実行した利活用方法を紹介します。
グループ会社であるTSP東北株式会社の社員たちが、宮城県蔵王町で林業を営まれている太田さんご夫妻のもとを訪れたのは雪が舞う寒い日のことでした。イベント現場で活躍したのち、一部を補修され生まれ変わったパイプテントは、TSP東北の社員の手によって太田さんの畑の一角に設置されました。
パイプテントの中では、林業に欠かせない農具機や肥料を保管することに。太田さんは「倉庫は少し離れたところにあり、備品をわざわざ持ってくるのが大変だったんです。雨ざらしにしておくわけにもいかないですし。パイプテントをいただいたおかげで効率よく仕事ができるようになりました」と言います。
太田さんご夫妻は森から木を伐り出すだけでなく、森を守る活動を65年続けられており、緑化功労賞も受勲されています。「木は水を貯め、時間をかけて山から陸へ、川として流れていきます。日本人の主食であるお米や食物を作る田畑の豊かさに、木は大きな影響を与えるんです。最終的に田畑の恵みは海にまで流れ出て、魚介や海藻にまで届けられる。木を育てることは、地球の循環を支えることなんです」。テントを通じて、社員たちも豊かな自然循環の持続性について考えるきっかけとなりました。
埼玉県にあるTSP太陽の商品センターで、補修したパイプテントを車に詰め込む社員の姿がありました。パイプテントの行き先は、神奈川県湯河原町にある「湯河原・スピルバーグ・ヤギポート」というヤギ牧場。牧場を運営する団体で代表取締役を務める前田さんは、除草用ヤギの貸出や販売を通じ、増加が予想される耕作放棄地において粗放管理※という選択肢を広める活動をされています。
※粗放管理 農地資源の保全を目的とした管理方法で、単位面積あたりの労力や資本の投下量が少なく、自然の力に任せる農業を指す
テントは、ヤギ牧場内の高台に活動拠点として設置されました。「ヤギのお世話をしながら集まる地域の人たちを日差しから守る役割を担います。また、横幕を貼ったり内装にもこだわったりして、時には牧場の利用者が休憩できる空間にもしていきたいと考えています」と前田さんは話します。
屋根の勾配が少ないテントは雨が屋根に溜まりやすく、倒壊のリスクが高くなります。一方、杭の打ち込みが必須となるようなフレームレスのものは、固い地盤では施工ができない場合も。長期的な設置を見込み、雨風への耐久性のあるパイプテントを活用いただくことになりました。前田さんは「テントの知見が深いTSP 太陽の方からアドバイスをいただいたことで、雨風への耐久性の高いパイプテントを入手で きて良かったです」と目を細めました。
イベントの企画・運営を担う当社にとって、備品選択・発注・管理にサステイナブルへの配慮を汲むことは、社会活動に貢献しうる重要な業務の一つです。社内ではリサイクル品のみならず、大きな設備品から小さな雑貨まで、社員たちの自主的な取り組みにより、日頃から課を超えてリサイクルを行う動きが加速しています。
イベント実施時はもちろん、日々の業務の中でもSDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」を果たしていけるよう、活動を続けていきます。