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世界が注目する自転車ロードレース#02

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

PROJECT

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
(2022年11月6日 埼玉県・さいたま新都心駅周辺)

03.スタッフは約1000人、当日設営の時間は約2時間

11月6日。「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」開催当日の朝は時間との戦いだった。

11時には観客席がオープンし、11時45分には警察によるコースチェックが始まるので、それまでにほぼすべての施工を完了させておく必要がある。ところが、交通規制がかかり路上で作業ができるようになるのが9時30分から。つまり本格的な会場設営は、9時30分から11時30分までの実質2時間で終わらせなければならなかった。

「交通規制がかかる9時30分から、一斉に作業に取り掛かるという計画でした。まさしく分刻みで、不測の事態が起きたり、何か一つでも忘れていたらアウトという緊迫した状況です。今思い出すだけでも背筋がひんやりします」

各エリアを担当するディレクターやスタッフは、ボランティアも含めて約1000人。協力業者は、納品だけの業者も含め約20社。この瞬間、このすべての関係者が現場に集結する。

成功させるには、この全員が、それぞれのタスクを時間通りにこなさなければならない。そのために、半年の時間をかけて手配や打ち合わせ、会議を行い、綿密に準備してきた。チェックにチェックを重ね、計画に一切抜かりはない自信はあった。

それでも、さらなる万全を期すために、会社では同僚たちにも出来得る限りヘルプを頼んだ。そんな空気を察して「俺も行こうか?」と自ら声をかけてくれた上司もいたという。

04.TSP太陽の強みを発揮した当日設営

「これがTSP太陽の強みだと思います。このような会社の大切なプロジェクトに対して、誰もが自分事として協力を惜しまない社風です。そして、その全員が幾多の現場をくぐり抜けてきた熟練者ばかりです。やるべきことを瞬時に理解できるだけでなく、不測の事態への対応力も高い。あの時の我々プロジェクトメンバーにとって、これほど力強い味方はいません。振り返れば、細かいものも含めてアクシデントは数えきれないほどありましたが、大きな問題には発展させず乗り切れたのも、彼らの協力によるところが大きいと感じています」

こうして、多くのスタッフや同僚の惜しみない協力に助けられながら、何とかほぼ予定通りの形で目標の11時30分を迎えることができたという。12時15分には無事にイベントは開催され、ほんの1時間前まで繰り広げられた過酷な”戦場”など存在していなかったかのように、会場や沿道は多くの来場者の喜ぶ顔で埋め尽くされていた。

これでようやく「ホッと一安心」というところか、と思いきや、担当者の心中は複雑だったらしい。

「個人的には反省点がいくつかあったので、あの瞬間は手放しで喜んでいられなかったというのが正直なところでした。でも会場を見渡すと、好きなチームのジャージやTシャツに身を包む人、旗や応援グッズを振る人、仲間同士でコスプレを楽しんでいる人などなど……『この日を本当に楽しみにしていたんだなあ』というお客様の喜ぶ顔が見られたときに、ようやく『ああ、何とかここまでこぎつけることができたな……』と実感することができました」

イベントに携わる者にとって「来場者が楽しむ姿」こそが真の目的であり、さらなる進歩への活力となる。TSP太陽にとっては、スポーツイベントというジャンルにおいて、またひとつ大きなハードルを超えた瞬間でもあったといえるのではないだろうか。

〈前編はこちら〉

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