TSP太陽はこれまでにも多くのグルメ系イベントを手掛けてきたが、一般の展示会とは異なる特性があるという。本イベントで、事務局として多くの出店者に対応した加藤が次のように語る。

「来場者に食事を提供するイベントなので、衛生管理には特に気をつけなければなりません。来場者の安全性の確保などとは別のリスクとして、グルメ系イベントでは、各出店者に対しても衛生管理を徹底する必要があります。ただ、これは言うまでもありませんね」。

実は、出店者の特性にも一般的な展示会などとの違いがあるのだと明かす。

「グルメ系イベントの出店者は、ほぼ全員がお店を経営する事業主です。それだけに、たとえ屋台やレストランブースであっても、ビジネス的な視点で非常にシビアに見られます。当然、彼らは店舗で黒字を出すことを目指しているため、我々も全出店者に対して経営的な観点での対応が必要になるんです」。加藤は続ける。

「『こういう料理の方が複数売れる傾向がある』『メニューのネーミングはわかりやすくした方が目立つ』といった具体的なアドバイスを行います。他のグルメイベントでは来場者の為に店舗さんには売り切れを出さないように主催から指示されることがあると聞きますが、売れ残りのリスクやレギュレーションも含め、同じ視点でサポートすることが非常に大事です」（TSP太陽・加藤）。

出店者との関係は、単なる取引ではなく「共同経営者のような感覚」で接することを心がけているという。

「そういう意味で非常にプレッシャーのかかるイベントでしたね。結果、幸いなことに期間中に売り切れた店舗さんは多く、また、在庫を無駄にする店舗さんは少なかったと聞いています」（TSP太陽・加藤）。

TTDMは一定の成功を収め、TSP太陽としてもその意味は大きい。その一つが東京を代表する飲食店との絆だ。

ともに店舗対応に携わっていた小林も、「加藤が言ったように、共同経営者として出店者さんと接したことは非常に重要でした。同じ方向を見て綿密に打ち合わせをし、良い結果を出したことで信頼関係を築けました。この絆は今後もグルメ系イベントに携わる上で大きな力になると思います。また、このイベントを通じて新しい領域に踏み込むことができました。今後、全国的に行政の食関係の公募が増えると思いますが、この実績は信頼を得るための大きな看板になるでしょう」と、新たなる挑戦への意欲を新たにしていた。

イベントで来場者を楽しませ、出店者からは大きな信頼を寄せられ、クライアントである東京都からも大きな評価を受ける結果となったTTDM。さらに加藤は、「実は内部からの評判もいいんですよ」と付け足す。

「関わった他のスタッフもこれまで数多くのイベントに携わってきたプロですが、そんな彼らが口を揃えて『良いイベントだ』と褒めてくれました。“イベントのプロ”として、ある程度任せてもらえているのを目の当たりにし、やり甲斐のあるプロジェクトだと感じてくれたのかもしれません」（TSP太陽・加藤）。

さらに、若い社員たちにとっても、このイベントは大きな意味を持っていた。

「現場に新入社員を10人配属しましたが、みんな楽しそうに働いていました。これから仕事を覚えていく大切な時期に『これが良いイベント』という見本を体験することができたのは、彼らにとっても非常に貴重な経験になったと思います。この経験は、彼ら自身の成長だけでなく、TSP太陽の未来にとっても大きな財産として残っていきます。TSP太陽の未来を考えると、見逃せない成果だったと思います」（TSP太陽・寺野）。

この成功の背景には、TSP太陽の特異な視点とアプローチがある。寺野は胸を張って語る。

「ただの受託ではなく『TSP太陽には”主催者の目線”がある』――これが当社の大きな強みであり、実際TTDMでは存分に示すことができました。受託は原則、言われたことをやればいい。しかし当社は実際に主催イベントも多く開催し、主催者の目線を持っているから、クライアントに『こうした方がもっとお客さんが喜ぶ』『こうした方が効果的』など、同じ視点で意見を言える。イベント制作会社はたくさんあっても、ここまでできるイベント制作会社は少ないと思いますよ」。

TTDMの成功は、TSP太陽の豊富な経験と確かなノウハウが結実したものであり、同時に未来への財産を大きく育てる貴重な機会となった。結果、TSP太陽にとっても有益な、四方よしのイベントとなったのだ。

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